紫雲膏を作りました

当店、漢方薬局ではありませんが一部の漢方薬は作っています。

本来、漢方薬は「証」にあっているかどうかが医薬品選択の原則で、含まれている成分の効果については語られないものです。ところがこの紫雲膏、紫根に肉芽形成作用があるとか妙に西洋的?な説明がされます。西洋薬の保険調剤にどっぷり浸かった薬剤師が漢方の分野を勉強するにはうってつけの薬です。
 
アレルギーならステロイド薬、しもやけならユースキンA 、痔ならボラギノールA軟膏と症状ごとに最適な薬は確かにあります。この紫雲膏の利点は汎用性の高さです。例えば、冬にしもやけのために買って余った分を常備薬として置いておけば、火傷をした時などいざという時に役に立ちます。紫雲膏は常備薬として優秀なのです。
 
作る上で難所がいくつかあります。
1.重合させる間、退屈で仕方がない
2.容器に入れにくい
3.片付けがしんどい
他の薬と比較して作るのに時間がかかります。
 
レシピはこちら
紫根  120g
当帰   60g
ゴマ油 1000g
ミツロウ 340g
豚脂 20g
 
ちなみに紫雲膏の成分は製品ごとに違っています。
例えば【第2類医薬品】クラシエ紫雲膏 14gは薬局製剤と比べてミツロウが少なく柔らかい。

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 まず、ゴマ油を230度くらいで4,50分熱することで重合させます。

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冷水に一滴落としてみることでできているか確認します。
上手くできているとこんな感じで油の粒がまとまります。

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ちなみにできていないとこんな感じで広がります。

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ここで、豚脂とミツロウを溶かします。

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完全に溶けてちょっと温度が下がるまで待ちます。
170℃くらいになると当帰をカラッと揚げます。

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泡が大量に出ます。5分くらい経つと泡が出なくなって引き上げます。
さらに待って140℃くらいになると紫根を揚げます。

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同様に泡がよく出ます。こちらも5分くらい待ちます。
5分くらいで泡は減るものの完全には止まりません。
紫根の色が元の濃い紫色から当帰と似た茶色になることで
ちゃんと抽出されたことが分かります。

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綿布でろ過をしてビーカーに移します。
ここから程よく固まるまで撹拌し続けなければいけません。
ゼラチン状くらいになり始めたら容器に入れていきます。
固まると入れにくいし、液体のままだと沈殿する恐れがあるので素早くやります。
写真を取る余裕がありませんでした。
容器に入れたものはこちら。

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確認試験はジクロロエタンと水酸化ナトリウムを使うだけなのでそんなに難しくないのですが、ジクロロエタンの発火点が低いので保管が怖い。特に夏。発火点まで室温は上がるはずないと思いつつも、日曜日とか不安になります。というわけで確認試験は検査センターにお願いしています。
 
そしてここからが最大の難関。片付けです。
水道水で洗うとこびりつくので、まず熱湯をかけて紫雲膏を溶かせて新聞紙で素早く拭き取ります。ほとんど拭き取った後、食器用洗剤をたっぷり使って洗います。
そして丸1日部屋が紫雲膏臭くなります。
 
完成品はネットでも店舗でも売っています。

store.shopping.yahoo.co.jp