【保存版】更年期の仕組みと3つの対策

 更年期については、大なり小なり女性は避けて通れないテーマです。更年期症状にとても苦しんでいる方もいれば、ほとんど症状もない方もいます。非常に個人差が強いのでしょう。このため、口コミや健康食品の話題などは一貫しておらず、何が真実なのかよく分からないということもあるでしょう。そこで、更年期について、枝葉の知識ではなく基本をもう一度捉え直すことでより間違いのない確実な対策が取れるようにするのが今回の記事の目的です。

目次

更年期とは

  女性は一生の間に、①月経を迎える思春期、②月経のある性成熟期、③月経を終える更年期、④月経を終えてからの高齢期の4つのライフステージを経験します。規則的であった月経周期が不規則になり、やがて閉経を迎えます。個人差はありますが50歳前後で閉経する人が多く、この閉経の時期をはさんだ前後約5年、約10年間(一般的に45〜55歳頃)を”更年期”といいます。

更年期で重要なのはエストロゲン 

 更年期になると卵巣の機能が低下します。これによって、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が下図のように急激に減少していきます。その結果、ホルモンのバランスが崩れ、以降で解説するような症状を発症していくことになります。

 

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 より詳しくは下図のような症状を発症する恐れがあります。

 f:id:kusurisi:20170629144019p:plain(野崎雅裕:更年期と加齢のヘルスケア, 12(1), 128-132, 2013 : 一部改変)

 40代くらいから現れる症状から、60代を過ぎても影響する症状まで様々だということが分かります。このように、更年期症状、更年期障害にはエストロゲンが深く関与していることが分かります。

エストロゲンの各臓器での作用

 これまで、エストロゲンの増減について説明しました。ここから更年期の具体的な症状に展開をしていきます。そのためには受容体の話を間に挟む必要があります。薬理学の中心的概念が受容体理論であって、エストロゲンの作用もそれに漏れないからです。受容体の話はこちら

 エストロゲンの受容体は、体の多くの臓器に存在しており、生殖機能や生体防御のために働いています。エストロゲン受容体にはα-受容体(ERα)とβ-受容体(ERβ)の2つがあります。存在する臓器は以下の通りです。

 

・α-受容体(ERα)

主に、生殖器(子宮、卵巣、精巣、乳腺、他)、副腎、腎臓

・β-受容体(ERβ)

主に、骨、脳、肝臓、前立腺、血管壁、肺、甲状腺、膀胱

 

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Setchell KDR J Nutr 129(3): 758S-767S, 1999

 

 エストロゲンが欠乏すると、上記の臓器の働きに支障が出ることになります。これが更年期症状です。よくある症状として下図のような症状があります。

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 もちろん、更年期の症状はエストロゲンの減少だけでなく、心理的な要因(仕事や家庭環境など)も複雑に関与する為、個人差が激しいです。日本人では特に肩こりや疲れやすさが多く報告されており、のぼせや発汗などといった症状も25%以上の女性にみられるようです。

糖尿病や動脈硬化に注意

  ところで、β-受容体が血管壁にあることを上述しました。これは、女性ホルモンによって血管をしなやかに保たれ、動脈硬化が予防され、内臓脂肪が分解しやすくなっていることを意味します。女性ホルモンのおかげで、男性と違って、女性は生活習慣病が発病しにくいのです。

 しかし、女性ホルモンが減少すると、「脂質異常症」や「動脈硬化」、「糖尿病」といった生活習慣病のリスクが高まっていきます。更年期症状としては比較的遅くやってくる症状で、閉経後の女性はこれまで以上に注意が必要です。

更年期の予防

世界と比べて、日本人の更年期症状を発症する人は少ないです。日本の中でも西日本より東日本の人の方が少ないようです。これは大豆食品を習慣的に食べているからだと言われています。豆腐や納豆、豆乳を若いうちから食べる習慣を作ることで完全とは言えないものの発症する可能性や酷さの程度を低下させることができます。過剰に食べる必要はありません。豆腐なら3分の2丁、納豆なら1パックくらいです。

更年期の改善

 更年期の改善のための選択肢は3つあります。健康食品、漢方薬、医療用医薬品です。それぞれの特徴をよく知ってより良い選択ができればと思います。

健康食品について

 エクオールサプリメントやプラセンタが有名どころです。エクオールにはエストロゲンのような作用があります。健康食品は健康な方が対象で、疾患の治療には用いることが出来ません。更年期で考えると、更年期症状があるものの日常生活に支障が出るほどではない(疾患ではない)方が対象となります。また、更年期の健康食品は保健機能食品として消費者庁の許可を受けたものや届出されたものはありません。「いわゆる健康食品」に該当することから、怪しげな商品を購入しないように、商品はしっかり選ぶ必要があります。

漢方薬について 

 漢方薬の概念はエストロゲンを中心とした西洋医学的発想とは大きく異なっています。薬の選び方はかなり難しいでしょう。「この薬にはこの成分が入っていて、この成分の作用はこうだから、この症状に効果がある」という論理が成り立ちません。「頭痛」、「イライラ」と言葉の上で同じような症状であっても、「証」によって最適な薬は異なります。また、一般用医薬品ではオリジナルの配合を行っている有名な漢方薬もあり、その効果の評価は第三者では極めて難しいものです。

 このようなことから、漢方薬を視野に入れた改善を期待する方は自己判断を避けて、漢方薬局や漢方医にかかることをお勧めします。

医療用医薬品について

 医師を受診し、処方してもらうことで医療用医薬品を服用するという選択肢もあります。女性ホルモンを補充する名前の通りホルモン補充療法が主に用いられるかと思います。直接補充するので根本的な解決にはつながりますが、血栓症のリスクなどの副作用もあります。

 

※この記事は大塚製薬(株)様のご協力のもと作成したものです。